2010年09月10日

勝又進「赤い雪」英語版、Ignatz Awardノミネート!

 全然知らなかったんですが、勝又進さんの「赤い雪」英語版、Drawn & Quarterlyから出版された「Red Snow」がアメリカのIgnatz Award「優秀短編集」部門にノミネートされてました。

 Ignatz Awardsは他にも作家部門や長編部門、新人部門など全部で9つのセクションがあり、5人のマンガ家によってノミネート作品が選ばれ、あとは毎年開催されるSmall Press Expoの参加者の投票によって受賞作が決まるということです。Small Press Expoというからには、アメリカで小出版社あるいはインディーズ出版として発表された作品の中から優秀作を選ぶという賞なのでしょう。
 同賞ではこれまでに吾妻ひでおさんの「失踪日記」、辰巳ヨシヒロさんの「押し屋・その他の短編」がノミネートされたことがありましたが、いずれも受賞には至っていません。今年の発表は、明日土曜日の現地時間夜9時とか。SPXはメリーランド州ベセスダで開催されるそうなので、もし週末にベセスダ周辺にいる方は是非行って投票してくださいね(笑)。しかし「ベセスダ」って聞いたことありませんが、どういうところなんでしょう。
 その他海外版の情報ですが、まずTop Shelfからの「アックス」ベスト版、アメリカではそろそろ書店にも並んでいるようです。評判は上々。10万部ぐらいは売れて欲しいです!(ちなみにこんなところで業務連絡するのもなんですが、収録された各作家さんへの献本は現在船便で日本に向かっているところなので、もう少しお待ち下さいね)

 ここ最近の出版不況は海外でも深刻で、特に青林工藝舎と取引しているような出版社は小さなところが多く、さすがにここ一年ぐらいは新たなプロジェクトは少なめになってきていますが、それでもいくつか面白いものが進行中です。フランスでは駕籠真太郎さん、花くまゆうさくさん、早見純さん(!)の単行本が出ることになったし、Top Shelfからは松本正彦さんの「たばこ屋の娘」が現在翻訳作業進行中。「たばこ屋の娘」はフランス語版も出ます。松本さんの作品とその手法は、その重要さにもかかわらず日本ではまだ限られた読者しか獲得しておらず、一般的にはほとんどの人は知らないでしょうし十分な評価を得ているとも到底言い難いですが、海外の人に見せると一瞬で食いつく感じがあるのが面白いです。以前も書きましたが、いきなり作品の核心を捉えてくれるように思えるのは作家や作品に対する情報がないだけに、余計な先入観なしに見ることが出来るからでしょうね。海外からのリアクションって、初めてであったものに対する驚きと共感がダイレクトに表れていて、自分の中に忘れかけていたものを思い出させてくれるようなところがあります。ホントにね、たとえて言えばあれですよ、「モンタレーでジミヘンのステージを客席で初めて見たママキャス」みたいな(笑)。
 フランスで出た「どくだみ荘」への反響もそんな感じでした(笑)。「どくだみ荘」はこっちでは一冊しか出てないのに、フランスでは第二弾が出ることになり、こちらもただ今進行中。昨日9月9日は福谷たかしさんの10回目の命日でしたが、黒蜥蜴のステファンから頼まれていた第二巻用の解説をなんとか書き上げて、ちょっとホッとしてます。
 再来週は比嘉慂さんの「砂の剣」、続いて10月5日には「マブイ」が発売になります。比嘉さんの作品は今のところ「カジムヌガタイ」がイタリアで翻訳されていますが、私は比嘉作品こそ、海外でどんどん出されるべき「First Priority」な本だと思ってます。向こうへの売り込みも気合いを入れてやります!(浅)
posted by 青林工藝舎 at 11:59| 海外版