もう四月もこんな時期!
早く“ジョージ秋山捨てがたき選集”五巻目の「ドブゲロサマ/アマゾンくん」を進めないと! 今回も例によって原稿がなく、全部本からですが、特に「アマゾンくん」は40年以上前の「月刊マガジン」からの復刻なので、今から頭が痛いです。ちょっとずつ進めてはいますが。
しかし、編集作業の大変さはとりあえず置いといて、作品は今回も名作! 特に「ドブゲロサマ」の方は、巷では“迷作”的な評価もあるようですが、子供を取り巻く様々な問題が出てきている今の世の中で、悲しみが極限に達すると「ドブゲロサマ」が宿るという設定は極めて今日的なテーマを持っていると思います。90年代半ばに描かれた作品なのでもう15年も前ですが、現代社会を予見したような作品をサラッと描いてしまうジョージ先生は改めて天才だと思いました。5月発売予定ですのでお楽しみに。
さて、四月もそろそろ半ばといえば手塚治虫文化賞の発表時期ですが、去年辰巳ヨシヒロさんの「劇画漂流」が大賞を受賞したので今年は青林工藝舎からの本の受賞はさすがにないと思います。特にノミネートの連絡なども来てませんし。
それはそれとしまして、『アックス』で40回の長期に渡り連載し、ご本人の急逝により未完となっていた米沢嘉博(米澤嘉博)さんの「戦後エロマンガ史」がいよいよ出来上がります。『アックス』連載中は、毎回規定のページ数に対して情報量が多すぎたため、文字が小さすぎて読めないとのご批判も多々受けましたが、今回の単行本化では本文の級数も12級に上げたので、なんとか読めるかと思います。それでも全部で320ページ、とにかくものすごい情報量です。連載中はスペースの関係上割愛せざるを得なかった図版もだいぶ増やしました。スキャンデータも画像の調整が今ひとつだったので、約2,500点、すべてレタッチしました。本文及びキャプションの、記憶違いや曖昧な情報による記述の誤りもできうる限り直し、誤植もチェックして初出時からの修正箇所は600箇所以上。元の記事がいかにいい加減だったか……いや、そうじゃなくて(笑)、内容のチェックも色んな方にご協力いただき、何とか完成にこぎ着けました。特に劇画研究の森田敏也さん、いつもありがとうございます!
これだけのページ数、文字量、A5判というサイズで1,800円は正直、狂気の沙汰の安さです。何故安くできるのかといえば、本文レイアウトもほとんど自分でやってるからです(泣)。こんな本はもう絶対に出ません。今のうちにご予約を。
内容を読んでいただければ一目瞭然かと思いますが、底辺の存在としてコマーシャルなマンガ界からはほとんど無視されてきたエロマンガは、実はメジャーにはない、新たな実験作が最初に生まれてくる大事な「場」であり続けてきたんです。エロマンガの新しい流れのオイシイ部分だけをうまく掬い取って、味を薄めてメジャー出版社がコマーシャル展開したような例はいくらでもあります。その意味では貸本劇画も、エロマンガも立ち位置としては同じような場所にいたと言えるでしょう。「非実在青少年規制」でそのような「場」が脅かされたら、それはマンガ界全体にとってどういう意味を持つのか、考えながら読んでいただけたなら嬉しいです。
私事で恐縮ですが、この業界に入ったときの私の最大の野望(笑)は、コマーシャルに対するオルタナティヴなマンガ表現、まとまったかたちで記録が残されていないそれらの存在証明を残すということでした。ですから「劇画漂流」に続いて「戦後エロマンガ史」が出せたのは本当に嬉しいです。この二冊が出せたので、今後自分が何をしていいのかわからなくなってしまったりして…。と言いつつまだまだやることはいっぱいあるんですけどね。(浅)
2010年04月12日
米沢嘉博「戦後エロマンガ史」来週発売です。
posted by 青林工藝舎 at 18:51| 日記




